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静寂を破ったのはご主人だった。
「‥‥‥なぁ」
『‥‥‥』
「何があったんか知らんけど、誰かに聞いてもらった方が気ぃ楽になるぞ」
『‥‥』
「……はぁ。しゃーない。よいせっ」
『なっ!』
黙り込む私をご主人は抱きかかえた。
そして、
「コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ」
『ギァニァニァギァニァニァニャニァギァニァニァニァニァニャギァニァニァ!!!』
私をこしょばしだした。
「何があったか言え!!言わん限り止めへんぞ!!!」
『ギァニャニァニァニァ!!言う!!!言うから止めて!!!』
「ほんまか?」
『本当に話すから!!!ニァニァニァニァア!!!』
「ほんまにほんまか?」
『言う!!!言う!!!!』
「ほんまにほんまにほんまぎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
『言うって言ってるんだからさっさと止めなさいよ!!!!!』
私は思いっきりご主人の顔を引っ掻いた。
『はぁはぁはぁ。全く‥‥』
「やり過ぎちゃいました♪」
某CMのように謝ったのでもう一回引っ掻くことにした。
この壁紙は匂いを吸収しないわよ!!
顔中絆創膏だらけになっているご主人に私はレーナのことを話した。
「イテテ‥‥。なるほどな。そのレーナって言う親友の猫に嫌われて暗なっとったわけか」
私は軽く頷いた。
「う~む。困ったな」
『ホントよ。唯一の友達で、唯一の親友なのに‥‥』
「正直、解決法が浮かばん」
『このまま仲直り出来ずに終わるのかしら』
「『う~~む』」
何故か息を合わせて唸ったがどうしようもなかった。
彼女のショックは大きかったはずだ。
彼女にとって私は自分を出せる唯一の存在だった。
そんな彼女を私は裏切ったのだ。
「くそっ。変なタイミングに約束してもたなぁ‥」
『ん?何かあるの?』
何故かご主人の中では違う問題が生まれていたようだ。
「いやぁ。明日友達ん家にお前連れて行くつもりやってんけど、その調子やとあんま気乗りせんやろ。
断りの電話でもするわ。あいつにゃ悪いけどな」
と言うとご主人は携帯を取り出した。
『待って!一緒に行くわ。ここにいて彼女に会ったら気まずいし‥‥‥』
と私が言うとご主人は突然笑顔になった。
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