猫の私とご主人の友達

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「お前も相変わらずだな」 「そうか?」 「イジワル‥‥」 彼女は少し泣きそうな顔をしながら呟いた。 「そんなに気にせんでも‥」 「イジワル‥‥」 「謝るから許してくれ!」 「イジワル‥‥」 「……」 「イジワル‥‥」 「しつこい女は嫌われるよ」 終わりの見えそうにないやり取りを見かねて男が口を挟んだ。 「じゃあ…許す‥‥」 「なんでそこで許すねん!!」 ご主人がつっこむといじけた顔をしながらそっぽを向いた。 全然可愛くない。 「そういえば、お父さんとお母さんはどこに行ったの?」 不意に彼女が男に尋ねた。 目から涙は消えていた。 「ん?あぁ、ちょっと旅行にね」 「お前の親旅行好きすぎひんか?」 ご主人が男にむき直し尋ねた。 「仕方ないさ。実は旅行先で出会ったらしいしね。今日は知床の方だったかな?」 「すごく遠くまで行ってるんだね」 「いやいや、先週末は白夜を見るためにアラスカに行ってたよ」 「「そんな理由で(か)?!」」 二人して男につっこむが男の方はしらっとしていた。 「別に珍しいことでも無いさ」 「やっぱりお前の親はおかしい」 「まぁ自覚はしてるよ」 「しとるんかい…」 (話についていけてないきがするわね) 寝ころびながら一応聞き耳だけたてていたが、何やら猫の私には全く分からない話をしていて疎外感が半端でない。 実は彼女がちらちら私を見ていたが知床辺りから完全に私のことが頭から消えたらしい。 ついに、私へ目を向ける者はいなくなった。 (まぁ休めるからいいけれど、見向きされないのは何というか…) 『寂しいわね‥‥』 「あれ?何か聞こえなかった?」 (しまった~~!!) つい心の声が漏れたのを彼女に聞かれてしまった。 見るとご主人は目を見開いて私を見ており、男は「確かに」と言って辺りを見回していた。 どうやら全員に聞こえてしまっているらしい。 「そっ…そうか???な、何も聞こえんかったぞ???」 明らかにご主人は動揺していた。 私もだが。 (マズいわね‥‥。このままだと喋れることがばれてしまう) 「ミャ~」 私は三人の方に歩き出しながら鳴いた。 「な~んだ。ナーシャちゃんか」 「そ、そうだよね。ここ新築何だから」 上手く騙せたようだ。
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