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(あぁ何でだろう。今私最高の気分……)
私は男が用意した最終兵器によって敗北を帰した。
だってゆらゆらしてるもの見たら猫なら誰でも捕まえたくなっちゃうんだもの。
『待て♪待て~~♪』
「なんや、このキャラの変わりようは‥‥」
私には男の言葉など耳に入らず猫じゃらしを懸命に追いかけていた。
本当に楽しかった。
数分後、
ついに私は猫じゃらしを捕まえた。
『やった♪』とつい口にしてふと現実に戻る。
(やってしまったぁ|||)
取り乱した自分を思い出して黒猫にも関わらず赤面してしまった。
(コレではまた奴の有利になってしまう。なんとかしないと)
結局また引っ掻くに行き着き爪を出した時、奴は私の頭を撫で始めた。
また、何か仕掛けてくると読み尻尾を立てたが一向に止める気配がない。
不思議に思い男の顔を見た。
そこには悲しんでいるような懐かしんでいるような顔があった。
「ホンマお前、ミミィによう似とるわ」
(ミミィ?)
聞き覚えのない名前に?を浮かべていると男は私を抱き締めた。
始め逃れようと体をくねらせたが次第に温かい気分になっていたこと気付き体を預けてしまった。
男はその間もずっと頭を撫で遠くを眺めていた。
恐らく、
昔飼っていた猫と私を重ねていたのだろう。
帰って来てくれたとでも思ったのだろう。
私としてはどうだっていいことだ。
けれど、
何故だかこの時この男の悲しそうな顔を見たくないと思ってしまった。
『仕方ないわね。あんたの猫になってあげるわよ』
喉を鳴らしながら私は男に言った。
「ありがとう………」
そう言うと男はそっと私をソファに置き風呂場へと歩いていった。
(楽しかったのね。その子と一緒にいるのが)
私には見えていた。
風呂場へと立った時彼が目に涙を溜めていたのを。
(ただパンツ一丁はやめて欲しかったわね‥‥‥)
第1話Fin
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