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頭が痛い。しかし頭痛では無かった。もし頭痛で済むのなら、どんなに優しいことだろうか。突如訪れたその痛みは、とてつも無く大きかった。
それもそうだろう。昨日
『明日は日曜日だからゆっくりのんびりするか』
などという甘い夢を抱きながら、眠りに付いたにもかかわらず朝早くに無理やり起こされたら頭が痛くなってしょうが無い。
頭の上をヒヨコが飛び回っているのは気のせいだろうか?
とりあえず、今味わうべき
『日曜の朝はベットでゴロゴロ』
という平和的思考回路をシャットアウトし、こう訪ねてみることにした。
「一体、何をすればこんな事になるんだよ」
視線の先にいたのは、見た目10歳の男の子だ。頭には部屋の中なのに帽子をかぶり、上は青のシャツ、下は黒の半ズボンを履いている。どこからどう見ても普通の男の子にしか見え無いが、問題は彼の周囲だった。
テーブルは見事にひっくり返り、イスはガラスの窓を破壊しベランダに転がっている。壁に掛けられていた絵画は床に落ち、薄型の液晶テレビは画面に亀裂が入っていた。
そう、要するに部屋がメチャクチャになっていたのだ。あまりにドタバタうるさいので、重い体を引きずってリビングに来てみれば、男の子が暴れまくっていたのだ。嫌な予感はしていたのだが見事的中。予想って当たるとため息出るもんなんだね。
「朝っぱらからドタバタうるせぇと思って、重い体引きずって来てみれば何コレ?何なのコレ?泥棒ゴッコのつもりですか?色々荒らすのは構わないけどよ、ここには金になるようなモンなんて何1つありゃしね~ぞ?」
頭をかきながら、ダルそうに部屋に入って来たこの家の主が男の子にそう言った。男の言いぐさに男の子はムスッとして言い返した。
「ゴキブリが僕に襲いかかって来たから仕留めようとしたんだよ!!」
確かに、よく見ると彼の手には『ゴキジェット』が握られている。
「ゴキブリ一匹倒すのに、何で部屋がムチャクチャになるんだよ。例えるならアレだぞ、盗撮犯捕まえんのに戦車引っ張って来る様なもんだぞ!!」
うん、つまりやり過ぎだってことね。
「知らないの?今のアイツらはなかなか死ななんだよ。信じられ無いくらい生命力が強いしね。おまけに、アイツらは環境に適応する能力まで備わってる地上最強の生命体なんだ。学者の人達の間じゃ、人類が滅亡した後最後まで生き残る生物はゴキブリだって言われてんだってさ。」
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