動き出す歯車

7/35
前へ
/35ページ
次へ
行間1 今からおよそ百年程前、ある一人の科学者が原子力に代わる新たなエネルギー源を発見した。 その科学者は、それをジェネレーション・エネルギー『マキシム』と名付けた。 『マキシム』は高エネルギー体であり、原子力を上回る力を持ち合わせていた。 ほんの少しから莫大なエネルギーを発生させることができ、環境にも全く影響を与えないという、正に人類が求め続けていた夢のエネルギーだった。 この『マキシム』を使えば、何のリスクも無く莫大なエネルギーが生まれ、今まで以上に生活が豊かになる。 環境破壊や温暖化などの、さまざまな問題も少しずつ回復に向かうだろう。 事実発見者である科学者も、環境問題を解決する方法を探して最中偶然見つけたのだった。 さて、この様なモノを聞いてすぐに動くのは各国家の議員達であった。 エネルギーや資源の枯渇に苦しんでいる者達からすれば、この『マキシム』は正に唯一の救いの手と言っても過言では無い!! 「我が国を救うために『マキシム』を使うべきだ」 と考えた各国の指導者達は、賛成を求めるべく議員に収集をかけたのである。 やがて、発見者である彼の下に指導者達から次々と電話がかかって来た。世界中が『マキシム』を必要としている。 そう感じた科学者は世界がほんの少し明るさを取り戻したと思い嬉しくなった。 しかしそんな中、世界中を揺るがす事件が起こる。 その日、世界中から科学者が集められ、『マキシム』について詳細に説明する場が設けられた。 世界中から数多くのテレビ局やマスコミも集まり、およそ千人の警官が警備にあたっていた。その様子はテレビを通して全世界にLIVE中継されていた。 誰もがそれを見ていた。 誰もが輝かしい未来の幕開けを信じていた。 そう、だからこそ 科学者達が集められたビルが爆発した瞬間、世界中の人々が一瞬呼吸を止めた。 炎に包まれたビルを全てのカメラが捕らえていた。 そして、消防団がすぐに消火しようと動き始めた時、それは起こった。 突如、ビルから空に向けて光が放たれたのだ。 光は雲の上まで舞い上がると、いくつもの粒になって飛び散った。 これが、やがて熾烈な戦いの火蓋を切って落とすことになるなど、この時誰一人知るよしも無かった。 ただ一人を覗いて。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加