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路地裏は、日の光があまり差し込まず薄暗かった。人もたまに見る程度で、シーンと静まり返った道を思いっきり走り抜ける。
何とかアイツらを巻こうと、分かれ道を右へ左へあても無く進む。
と、いきなり目の前に何かが上から落ちて来た。
「う…うわっ!!」
かなり切羽詰まった状況なだけに、驚いて声を上げた。
慌てて後ろに飛び退いた女の子は、すぐに落下して来たモノを見る。
そこには、かなり小さい何かが落ちていた。どうやら機械の部品のようだ。
上を見上げてみたが、誰もいない。おそらく、誰かが窓から誤って落としてしまったのだろう。
探しに来るだろうから、そのままにしておこう
と、再び走り出そうとすると
「あ~あ~、聞こえるか?」
と、男の声がした。
いきなり声がしたので、女の子は驚いてビクッと後ずさった。
「聞こえてんなら返事しろよ。アンタの前にちゃんと落としただろ!!」
少し間を置いて、今度は落下物から別の男の声が聞こえた。声の高さからして、自分と同じくらいの年だろう。
一体、何者なんだ?
敵か?味方か?
目的は何だ?何がしたいんだ?
何故自分を助ける?
何故自分がここにいると分かった?
様々な疑問が一気に浮かんで来る。明らかに怪しい。
助けが来たのは素直に喜ぶべきだろう。しかし、だからといって味方で無かったら最悪だ。もし、アイツらと繋がりがあったら取り返しがつかない!!
なので、女の子は無視して走る事にした。どこの誰とも分からない者を頼るよりも、自力で逃げ切る方が安全だ!!
と、再び男の声が聞こえた。
「あのさ、逃げるなら人混みに紛れて欲しいんだけど良い?」
ピタリと女の子の足が止まった。何故止めたのか自分でも分からなかった。
「君が誰かから逃げ切りたいなら手はそれしか無いんだよね~!!」
小さい機械から聞こえて来る男の声が頭の奥にまで響いて来る。
「追っ手がさ、ヘリ使ってるからどうやっても君の足じゃ逃げ切れ無い。なら、もう巻くしか手はないんだよ。」
知らず知らずの内に男の声に聞き入ってしまっている。しかし、動けなかった。
先程の疑問がまた押し寄せてくる。それもそうだろう。
いきなり知らない男に逃げていることを指摘されたのだから。
確かに女の子は逃げていた。しかし、追っ手のヤツらしかソレを知らないはずだ。
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