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観客席も徐々に埋まりだしたころ、選手はそれぞれウォーミングアップを済ませ、ベンチに腰を下ろしたりして、試合開始までの時間を過ごしていた。
その中で、剛紀は一人ベンチ裏で大粒の汗を滴らせながら、素振りをしていた。
「(いつ出てもいいように、後悔しないように、開幕一軍を掴むために、ぬかりなく!)」
今日の西武のスターティングオーダーに剛紀の名はなく、一軍半~二軍の選手が占めていた。
皆が常勝西武の開幕一軍を目指している仲間であり、敵である。
その中で、高卒ルーキーというハンデを抱えながら競争率の高い枠を争うのだ。
剛紀は、ほんの一瞬でも気を抜けないのだ。
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