初対戦

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――試合も終盤に差し掛かり、点差も5-3と二点ビハインドで迎えた七回裏の西武の攻撃。 先頭の岡村が猛打賞となる右中間を割る二塁打を放ち、打順は剛紀。 マウンドでは、今日の球数が100を越えている由川が、キャッチャーと投手コーチと集まって話している。 今日ここまで二打数無安打とパッとしない打席が続いているが、ここはなんとしてもチャンスを生かしたいもの。 自然と肩に力が入る。 「樫琶、待て」 と、ネクストサークルから打席へ向かおうとしたところで、監督の若辺が剛紀を呼び戻した。 「は、はい」 剛紀は拍子抜けと言った様子で、若辺の元まで戻る。 目の前まで戻ると、若辺は剛紀に問い掛けた。 「今日はタイミングが合ってないみたいだな……らしくないじゃないか」 「すみません!次は打てます!」 剛紀がそう返すと、若辺は口元を緩ませた。 「緊張するのはわかるが、それで自分の打撃を崩していたら元も子もないぞ」 若辺は、そう言いながら目線を剛紀からマウンドに移した。 そして、予想外の展開に目を丸くした。 「樫琶、マウンド見てみろ」 若辺に言われて、剛紀はマウンドを振り返った。 同時に球場にウグイス嬢のアナウンスが流れる。 ――ヤクルトピジョンズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャー、由川に変わりまして……小島。
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