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マウンドでは小島がセットポジションにつき、二塁ランナーと打席の剛紀と交互に目を配る。
剛紀は、打席でゆったりと大きく構えて、自分の間を崩さず投球を待った。
球場は、記憶に新しい甲子園での2人の真剣勝負を重ねながら、剛紀と小島のプロ初対決に胸を躍らせていた。
三年夏の甲子園、準々決勝。
この試合、小島はMAX155キロの直球と伝家の宝刀スライダーがキレにキレ、19奪三振をマーク。
これ以上ない調子の良さだったと本人が語るほどの出来の中、剛紀はその上の領域まで達していた。
小島は、剛紀以外にはヒットを許さず19奪三振の快投を演じたが、剛紀には155キロの直球も伝家の宝刀スライダーも通じなかった。
3打数3安打3本塁打。
おまけに敬遠指示での四球が一つ。
惨敗、しかし全力のストレート勝負、若さ、甲子園の熱さに、人々は酔いしれた。
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