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「浩くんも、二軍に落ちてすぐに実家に連絡したんだって。その時に、あんたの話になったらしいのよ。」
「浩くん、とにかく悔しいって言ってて、小島さんも聞いてて凄く胸が痛んだって」
「でも浩くんね、『あいつは俺のライバルだから。俺がリベンジするのを、一軍で待ってるから。今は前だけ見て、二軍でも腐らず頑張る』って言ってるんだって」
「剛紀。あんた、浩くんの気持ち踏みにじるつもり?今、あんたがどんなに辛くても、浩くんはそれ以上辛い状態で、もがいているのよ」
「こんなことで押しつぶされるほど、柔な男じゃないでしょ剛紀は」
「せっかく勝ち取った一軍なんだから、あんたも最後までもがきなさい!いいわね!?」
まるで、背中を叩かれたかのような衝撃を感じた。
剛紀は、母の激励に鼓舞されて、気力を取り戻していた。
小島の存在、そしてこの母の存在がなければ開幕一軍なんて、ましてやプロなんて夢のまた夢だった。
剛紀は、感謝しつつ電話を切った。
母は最後に「お父さんには今日電話したことは内緒ね!剛紀の問題だから、口を出すなって言われてたのよ!」と言って、剛紀を笑わせた。
剛紀は、両親の優しさに心が安らいだ。
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