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二回表、楽天は四番のヘルナンドからの攻撃だったが、涌口の前にあえなく三者凡退に終わった。
「流石だなぁ……」
三人目を三振に斬り、ベンチへ悠々と引き上げる涌口の姿に、剛紀は小さく呟いた。
そんな剛紀の視線に気付いた涌口は、気怠そうな表情のまま呟いた。
「あー、先制点が早く欲しいなー」
棒読みでそう呟きながら、剛紀にチラッと視線を向けて、口元を少し緩ませた。
「……先制のホーム、踏んできます!」
剛紀は、そう意気込んでバッターボックスに向かった。
ちょっとからかうつもりだった涌口は、予想だにしない剛紀の頼もしい返答に驚き、笑みがこぼれた。
「かましてこい、樫琶!」
柄にもなく出した大声、涌口は頼もしそうに剛紀の背中を見送った。
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