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密室に響く風切り音。
鏡に映る自分のスイングを何度も確認しながら、汗を滴らせる。
練習では捉えられるボールも、いざ本番となると全く当たらない。
今ここで振っているスイングと、打席でのスイングとでは違うというのか。
プロの世界というプレッシャーが剛紀を苦しませているのか。
「くそ…!」
答えの表れない問を何度も繰り返すうちに、やりきれない思いが目頭に集まってきた。
そんな時でも出番はやってくる。
「樫琶、次いくぞ!」
打撃コーチの會(カイ)に呼ばれ、剛紀は目を拭った。
「わかりました」
バットを持って、ベンチへと続く廊下に出る。
そして、歩きだそうとしたところで、會に背中を叩かれた。
「樫琶、打てる時は必ずやってくる。下を向くんじゃないぞ」
白髪が特徴的な會の言葉に返事を返し、剛紀は歩き出した。
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