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18メートルの世界を一瞬で渡る白い直線は、途中で進路を変えることなく捕手のミットを鳴らした。
直線を折り曲げようと試みたバットは、無情にも空を切り、審判は判定を下した。
振り切った剛紀の体はバランスを崩して尻餅をつく。
少し前までの歓声はなく、今ではほとんどが不安と野次の声になってしまった。
こんなに辛く悲しく悔しいことがあるものなのか。
剛紀は、歯を強く噛み締めベンチに戻った。
そこで待ち受けていたものは、救済の手ではなく厳しい現実だった。
「樫琶、明日から二軍だ。鍛え直して、必ず戻ってこい」
若辺の決断に、反対する者は誰もいない。
剛紀自身も、潔くそれを受け入れた。
「はい……すみませんでした」
謝る剛紀の背中をポンと叩いて、若辺はベンチを出て主審の元へ向かった。
結局、この日もウルフズは試合に負け、3連敗を喫した。
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