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「……お前は馬鹿だ」
「何だと?もう一辺言ってみろ!」
ミツキは涙を流しながら俺を嘲笑するように見つめてきた。
「だってそうだろう?お前は人を殺していないにしろ、結局は親父さんを殺したやつと同じことをしただけ。まったく馬鹿で無知なガキだ」
「違う!俺のは敵討ち!アイツはろくでもない人殺し!やったことの重みがまるで違だろうが!」
「あぁ、そうだな。むしろやったことを後悔してないお前の方が下の下だよ、ゼロヤ」
「それはアイツもだろうが!」
「違う」
「お前にアイツの何が分かるってんだ!後悔してたなんて分かるわけが……」
「少なくともお前の親父を引いてしまった私の親父は後悔していた!」
…………は?何言ってんだ?俺の親父の敵がミツキの父親?
「父さんはあの日、疲れた顔で帰ってきた。私と母さんには『いつもより仕事多くて大変だった』と言っていたが私は見たんだ、父さんが自分の部屋で声を殺して大泣きしているのを」
ミツキは淡々と語る。俺の知らない男の物語を
「父さんが風呂に入っている間に携帯を覗いた。きっとすぐにでも警察に出向きたかったのだろう。画面には消し忘れた『119』の数字が表示されていた。その後、母さんに聞かれないように父さんを問いただした。そうしたら『理由は言えない。でも俺はお前たちを守らなくちゃいけないからな』と言っていた」
俺は声を出そうとした。でも何と言えばいいのか分からず、ただただミツキの話を聞く
「そして……一年くらいか。さすがに耐え切れなくなった父さんは月夜の晩に警察に自首しに向かった。『こんなかっこ悪い顔、誰にも見られたくないから』と言い残してな」
ミツキは俺もすでに気付いてしまっていることを告げる
「もう分かるだろ。お前は自首しに行くところの私の父さんに暴行を働いたんだよ」
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