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甘味を大量買いして、空財布に心痛める静は浦原商店へと帰ってきた。
中では堕墜の霊圧が動揺によるものか不安定に揺れて居た。
夜行は静に甘味を買わせ、尸魂界へと帰って行った。
懐がホントに二、三桁になったので帰って来ただけなのだが。
この動揺した堕墜の様子が可笑しく慌てて今へ行けば、呑気にお茶を啜る隊長・かすがが居た。
「た、隊長?」
「やぁ、元気そうで何よりだねぇ~静」
「怪我の具合はどうなのですか?」
「そりゃ、全快とはいかないけれど。卯ノ花隊長に『無理をしなければ、現世に言って調べ物をしても大丈夫ですよ』って言われたし」
「は…はあ…」
こればかりは何を言っても、尸魂界へとは帰らないだろう。
それに『調べ物』が凄く気になった。
ニヤリと笑うかすがに、『この人には敵わない』と再認識した。
かすがが告げたことはまさしく、静が思って居たことを裏付けるものだった。
しかしそれを一護たちに言ったところで、茜雫が納得するとは思えない。
理解もしてはくれないだろう。
「静が思っている通り行動しなさい」
「隊長…?」
「きっと尸魂界では茜雫っていうこの保護……捕縛に乗り出すわ。それはこの改造魂魄が見た敵……巌龍とか言う奴等の目的が解って居ない以上、思念珠を自分たちの傍に置いていた方が良いもの」
「隊長……何故隊長は、茜雫を?」
「だって、私には興味ないことだもの。それに夜行とか静が珍しく乗り気じゃない?それを応援して、バックアップするのが私の役目でもあるじゃない」
嬉しそうに話すかすがに、苦笑した。
この人はどうあろうと、自分が思ったことを廻りがなに言おうが突き進んでいた。
損な隊長を持って苦労する、と思ったのも事実だが、気付いたら一番信頼していた。
「隊長」
「何、静」
「隊長には迷惑掛けると思いますが、今回は大目に見てください」
「何言ってるのさ。それはこちらの科白よ。堕墜、私の義駭用意てるんでしょ?」
「はい、勿論です。かすが様」
笑みを見せ、『明日、一緒に行くわ』と告げた。
調べ物をするだけだから、いざと成れば自分がかすがを守れば良いだけの事。
勿論ただ守られているだけのお姫様じゃないのは重々承知している。
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