Memory Of Nobody

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 かすがも静同様に黒地の振袖姿。 ただ違うのは裾には桜と梅の花弁が舞っている。 静のは全体に牡丹が咲いているだけのもの。 『まるで親子みたいッスね』と喜助に冷やかされたが、かすがは『年がら年中同じものを着てるオッサンよりは良いわよ』と一蹴された。  待ち合わせた場所にはもう一護と茜雫が居た。 一護はかすがをみて少し驚いていた。 それはかすがが怪我を負ったことを知っていたからだ。 かすがは茜雫にあいさつをしながら、手を握った。 その瞬間二人の周りに風が巻き起こった。 それは微かに感じる程度、他の人は全く気に成らない程度。 「静の上司に当たるの。見えないだろうけど、気にしないで」 「ちっちゃいけど、上司なんだーなんか、不思議ぃー」 冬獅郎のように身長の事でムキにはならない。 勿論、冬獅郎とかすがだけなら何故か白熱しているが。  かすがは静に耳打ちした。 『狙って居るのは思念珠としての力。欠魂は思念珠と共にあるものだから』 恐らくもう調べ物は粗方終わったのだろう。 かすがの目的は、思念主である茜雫に接触し、それが持っている『記憶』に触れることだった。 だから、もうかすがの用事は終わった。 そのままバイバイ、としないのはかすがの興味心から来るものだ。 「整、ですね」 「そうね。静、黒崎さんたちとその子の父親を探しなさい。わたしは別に用事を思い出したわ」 「かすが様?」 「くれぐれも、巌龍たちにその子を奪われてはいけない。………その、喬美扇も」 「えっ?」 春風のような香りだけ残し、かすがは静に背を向けて歩き出した。 首を傾げ、一護たちの後を追った。  古びた神社に辿り着いた。 しかしそれは違和感を持たせた。 これが欠魂と思念珠の成せる力なのか、と。 勿論茜雫もそれには気づいていない。 かすがは気付いて居たのだろうか、などとふと疑問に思う。 気付いて居ても自分から口にはしない。 そう言う人だ。  自分が気付くまで、助言はするが確信を言う事は無い。 それは自分の体内にある宝珠がそうさせるのか、それとも自分の体験がもとに成っているか……どちらも憶測に過ぎない。 「中央四十六室より第一厳令だ。一護、静。そいつを引き渡せ」 「何?!」 「………やっぱり」 「静さん、やっぱりって!!」 静は一護と茜雫の前に立ち、浮竹、冬獅郎をはじめ、茜雫を捕縛しに来た死神たちの前に立ちはだかった。
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