Memory Of Nobody

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 静は斬魄刀…喬美扇を広げた。 「霧風、何をするつもりだ!」 「私には茜雫が思念珠で、その周りに居たのが欠魂だと言う事が少し前から知っていました」 「だったら何故、報告しないっ!」 「隊長が仰ったんです」 「なに?」 「私が『思った通りに行動しなさい』と。それが隊長に迷惑や負担を掛けることになったとしても、です」 にっこりと笑った。 以前の自分では有り得ないことだろう。 勿論今までは矛盾を抱えたまま、命令の通りに動いて居たかも知れない。 そうじゃないやり方がある、と教えられたのも今の隊長の下に就いてからだ。 「良く言ったわ!それでこそ、私の静よ!!」 「かすがっ!テメェ、何言ってんのか解ってんのかっ!!」 「吠えなくたって知ってるわよ、冬獅郎」 一護たちの背後に現れたかすがと堕墜。 その姿は義駭に入って居る訳ではない。 手には自分の斬魄刀を手にしている。 かすがに至っては隊首羽織を着て居ない。 隊首羽織の代わりに麟桜套を羽織っている。 「砕蜂隊長、浮竹隊長、阿散井副隊長、乱菊副隊長、冬獅郎………巌龍の目的、解っているの?」 「世界の破壊、以外ありえねぇだろ」 「惜しい、とでも言っておこうか」 かすがは斬魄刀を上に向かって振った。 上を向くと、昨日襲って来た一族だった。 「静!貴女はわたしの部下であり、仲間よ。誇りを持って、決めたその信念を貫きなさい!!……舞わせ、黒桜連刃!!」 地を蹴り、敵へと向かっていく。 かすがの言葉に頷き、静は茜雫の元へ走った。 コンと一緒に居たが、コンでは役不足にも等しい。 「風華の舞!!」 茜雫とコンを花弁が包む。 「静!! 「茜雫!私が貴方を守るわ!!」 不安そうに頷く茜雫の手を掴む。 かすがが言った『その喬美扇も』といった意味がまだ理解出来ない。 だとしても、良い事ではないことは確かだ。  茜雫が宙に浮いている敵・巌龍に目を付けた。 巌龍と対峙して居るのはかすがだった。 静は助太刀に行きたいが、そうなれば茜雫が護れない。 全快ではない、と言ったかすがが不安で不安で堪らなかった。 「あの人、あんたの事信じてるんでしょ!何で助けないのよっ!!」 「かすが様は私より遥かに強い!私が下手に手を出しては、かすが様の邪魔になるだけ」 「何でよ!助けるのに邪魔になるとか、成らないとか関係ないでしょ!」 茜雫に言われ、ハッとした。
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