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苦笑すると、茜雫も苦笑した。
「夕闇に誘え、弥勒丸!」
「四方より吹き集え、風神の舞!!」
巌龍の元へと地を蹴った。
右から左へと喬美扇を振れば、この神社には巨大な竜巻を生みだした。
「静、ダメェ!!!」
巌龍に迫った茜雫は斬魄刀・弥勒丸を渾身の力で振り下ろしたが、巌龍は何事もなかったように弥勒丸を掴み茜雫の腹に拳を叩きいれた。
それをみた静がかすがが止める声を振り切り、巌龍へと向かった。
「風雷の………え?」
「静ぅ!!」
巌龍が静の首の後ろに手刀を入れられ気絶させられた。
二人を抱えた巌龍にかすがは黒い花弁と己の霊圧で作り出した竜をぶつけた。
巌龍に迫り斬魄刀で斬り掛かったが、いとも簡単に地面へと吹き飛ばされた。
「かすがっ!」
地面への激突は冬獅郎によって免れたが、静と茜雫は連れて行かれてしまった。
かすがの声が響いた。
死神らは尸魂界へと戻ったが、かすがは戻らなかった。
正確には戻ることが出来なかったのだ。
あの時のかすがは、かすがによって作り出された偽物。
本物は浦原商店の地下で、現世で仕入れた『記憶』と言う『記録』を行っていった。
それは今も続けられており、零番隊は上位三席が空白と成っている状況だ。
勿論夜行が現世と尸魂界とを行き来しながら、副隊長代理により体制は整っている。
尸魂界では隊首会が開かれたがそう言う理由もあり。零番隊は代理を立てて参加して居た。
代理は双子の肩割れ、四席兼副隊長代理の鬼灯夜孤。
『記録』作業が終わったかすがは、無表情のまま浦原商店を後にする。
かすがの伴をするのは堕墜だ。
「喜助兄さん」
「何でしょう」
「静の喬美扇の力って、風を操ること以外に仕える、って知ってた?」
「いえ、知りませんよ。かすがサンは気付いてたんですか?」
「……思念珠に触れた時、ね」
「そーっスか」
それだけ告げ、『記憶』を辿った。
静と茜雫が居るのは叫谷。
それ以外あり得ない。
叫谷の入口の場所はもう頭の中で踊っている。
そこへ向かえば良いだけ。
「待って居なさい、静」
「かすが様……」
「心配無いわ、堕墜。本体じゃなかったとしてもあれだけの力を持ってるもの。油断なんかしないわ」
「……それならば、何も申しません」
堕墜の斬魄刀の技の一つ・氷獣は、堕墜とかすがを乗せて走る。
技と言っても斬魄刀自体が氷獣に成っている。
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