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欠魂と同化する茜雫を見つけた。
それでも『茜雫』と叫び続ける。
応えて貰えなくても、叫び続ける。
『守る』と決めたのだから。
「茜雫、護るから」
ただそれだけが静を動かしていた。
「我に纏いし風の鎧。我が解くは、風の槍なりて。響く音色を止める者なれど、その勢いは止める者なり。全てを呈して、我は全てを捨てる者なり。…………風絶・風水!!」
静を中心に圧縮された風がものを吹き飛ばす。
それは茜雫と胴化しようとして居た欠魂も例外なく。
茜雫の身体に纏わりついて居た欠魂を吹き飛ばしたが、まだ残って居るものもある。
それでも静には十二分だった。
茜雫の身体に抱き着く。
静とも茜雫を包みだした欠魂。
「茜雫」
欠魂に取り込まれようとも、静はずっと茜雫の名前を紡いでいた。
叫谷入口に立つかすがが震えた。
堕墜が心配そうに様子を伺えば、小さく『静が、ね』とはぐらかされた。
一護が先に行ったと知った。
そのあとを追うとした堕墜をかすが止めた。
小さく笑い、大丈夫とだけ告げられ待っているのだ。
「朽木さん!」
「阿散井くん!」
織姫や雨竜の声が聞こえた。
堕墜はかすがを見ると、かすがは『ね♪』とだけ。
このことが解って居たのだろうかと恐怖を感じた。
「だって、静も黒崎さんも皆、恩があるもの」
「それは隊長もでしょう?」
「私?私は静に恩は感じてるけど、黒崎さんには特に恩を感じてないけれど」
笑うかすがに堕墜も笑った。
集まったのは冬獅郎・乱菊・剣八・やちる・一角・弓親・砕蜂・修平・イヅル・ルキア・恋次だった。
「おい、かすが」
「大丈夫。手遅れ、なんてさせない」
「そう言う事を言ってんるんじゃねぇよ」
「知ってるよ、冬獅郎。そうでもしないと、静は成長しないもの」
「かすが……」
「私はね、冬獅郎以上に不器用なの」
それだけ言い、真っ先に叫谷へと飛び込んでいった。
『隊長っ!』と叫びながら堕墜が続く。
苦笑しながら冬獅郎や剣八たちも続いた。
織姫や雨竜、喜助らは死神たちの無事を願った。
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