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静は深い溜息を吐きだした。
空を見上げ、穿界門を抜けた。
そのまま浦原商店のある方角へと向かう。
義駭を用意して居るだろう自分の隊の副隊長の元へ。
本来ならば今回の現世任務はかすが直々だったのだが、新たに発見した断界の調査と監視を請け負った。
最もかすが自身そんなもんに興味など無い。
零番隊が主に引き受けて居るのは巨大虚や大虚等の大型の虚の退治。
他の方は『応援要請』を受けた時以外あまり、出向かない。
例外はあるが。
「堕墜副隊長、義駭用意できましたか?」
「あれ?連絡だと隊長自身が起こしだと聞いたのですが……」
「こちらに向かう直前で、別の要請を受けたので、そちらを請け負う事に成りまして」
そう言えば堕墜は表情を険しくした。
奥から出て来た喜助に頭を下げれば、奥へと案内された。
事情を説明されたところで、ただ断界が発見されただけでそれ以上を聞く前に静は現世に来たのだ。
解るはずもない。
「取りあえず、長期現世任務でしたね」
「えぇ。しばらくこちらで生活するかと思いますから、よろしくお願いします」
「ところでかすがさんの隊は人手不足なんですッスか?」
「人手不足というより……上位席官が第十席までしか決まって居りません。そのため、私たちの隊は上位席官を六席までとしています」
「成る程。三席である霧風さんに回ってきたのは、そのためッスか」
喜助は納得の行った顔をした。
上位席官の副隊長は懲罰として現世で死神家業を続けている。
その為かすが率いる零番隊の上位席官は隊長を含め四人しかいない。
もともと資料というデータで引き抜きだけで隊士を集めたのだ。
そのツケが回ってきたというのも頷ける。
「義駭に入って十三番隊の朽木ルキアと六番隊阿散井副隊長と連携を取るつもりですが、いざとなったら単独行動を許されております」
「まぁ、かすがさんが隊長なんッスからね。それくらいの権利を受けて当然ッスね」
身に付けた義駭は思っていたより動きにくいが、支障をきたすほどでもないようだ。
持ってきた斬魄刀が珍しいのか喜助の視線がそっちにある。
「私の斬魄刀が気に成りますか?」
「え?あ…まぁ…元技術者としては、気に成らないって言う方が可笑しいっすからね」
「死神代行と同じ『常時開放型』なので、このような形状をしているだけです」
そう言うと義駭へと入った。
身を翻し、浦原商店を後にした。
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