Memory Of Nobody

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 静はビルの屋上に立っていた。 屋上から地上を見下ろしていた。 異常な霊圧を感じたその地点に来て見たのだが、下に居るのは赤いトンガリ帽子に白い布を纏った何か。 それが何者なのかはさて置き、どうしようかと考えた。 「取りあえず……風陣の舞……」 その何かが逃げ出さないよう風を起こす。 ビルからふわりと飛び、下へと飛び降りる。 風を操る斬魄刀の為、降下速度はゆっくりだ。 「風華の舞」 様々な花弁が舞い静の廻りに舞う。 静の持っている防御術の一つ。 何かが解るまで手を出さないつもりでいたが、今回は少し様子が違う。 何時の日か感じた妙な少女の姿を見たからだ。 「ねぇ、貴方……何者」 「私?私は茜雫(センナ)」 「茜雫?名前くらいあるのは解ってるわ。死神にしては可笑しいのよね…」 「可笑しいって何よ!あんたの斬魄刀だって、可笑しいじゃない」 「私のは常時開放型だから良いのよ。それに、扇の形って良いじゃない?」 探る視線は変えず、廻りを遮ろうとする赤と白のそれを喬美扇で叩く。 叩かれたそれは、霧のように消えていく。 何と無くわかった気がする。 「鬱陶しわねぇ……風水の舞」 静の廻りに居た物や人などを思いっ切り吹き飛ばした。 感情を込めれば込めるほどその風圧は増して行く、厄介な技でもある。 勿論それに例外は無く、茜雫も吹き飛ばしてしまった。 「しまったっ!!」 やってしまった後の祭り。 茜雫が居なくなると、周りに居た赤と白のそれも消えてしまった。 舌打ちをしたところで、どうにかなるものではない。 「ユキ。もう出てきていいよ」 「お疲れ様です」 建物中に居た静の義駭をよび、義駭へと入る。 苛立ちだけはどうにもならないらしい。 まっすぐ浦原商店へと向かう。 そこには堕墜と夜行が居た。 「隆焔七席?」 「あ!静三席ぃー探しましたよー」 「はあ…」 開いていたのが夜行の隣だったため、夜行の隣へと座る。 そこで聞いたのはかすがが大怪我をして、動けないと言う事。 それと断界侵入に失敗してしまったこと。 ……自体が悪い方へと向かって居ることが告げられた。 「隊長が大怪我?!?!」 「は、はい……隊長自身はその断界へ向かう鬼道衆達の後方支援という事で行ったのですが、隊長の斬魄刀・桜煉華さんと黒梅さんの力が無ければ隊長も行方不明となるところでした」 「なんですって……」 静は驚愕した。
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