Memory Of Nobody

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 夜行からは『断界は思念珠が作り出したもう一つの世界』の可能性があることを告げられた。 それもまだ憶測の域を超えないため、あまり口外出来ないという。 そこで夜行はかすがから静へと伝言を受け取って来たという。 「たいちょーが言うには、恐らく現世に欠魂があるのではないか、って。その欠魂と思念珠を使って何かを企む輩が居るかもしれない、と」 「その調査をすれば良いってわけね」 「その通りです」 「もう……ただの現世任務だけにして欲しいわよ………まぁ、零番隊上位席官としてそれくらい引き受けます」 溜息を吐きだし、浦原商店を後にした。 静の立ち去ったあと、堕墜は夜行に色々と質問攻めしていた。 思念珠の事、思念珠と欠魂を狙って居る輩の事。 「隊長は解って居るんだろ」 「そうですね。『記憶』という『記録』を持っているたいちょーですから、それは勿論。ですが、先程も言いました通り、憶測の域を出てません」 「だよな……それで、かすが様のご容態は?」 「たいちょー自身に怪我はないのですが、無意識のうちに桜煉華さんと黒梅さんの同時使用の為、大幅な霊力消失による疲労です」 「………本当に、大したことは無いのだな」 「……たいちょーには口止めされて居んたんですよー?」 と、夜行は堕墜の気迫に項垂れて話し始めた。  かすが自身こんかいの断界については、何かしらの予兆を感じて居たらしい。 それは予兆だとは気付かなくて、今回の様な事になったと言う。 僅かに見えた欠魂が作った紫色の大木と、その中心に見えた少女。 その少女が静の言う『茜雫』によく似て居たらしい。 他に、現世でも尸魂界でも無い地形。 勿論虚圏のような場所でもない。 もしかしたら、何かの啓示かもしれない、架空の絵空夢だったかもしれない。 だから、何も対処することも出来なかった。 油断していた訳ではないが、自分以外その断界侵入していた鬼道衆を助けられなかったことを悔いている。 身体の傷は大小あったが、四番隊の処置のお陰で痕も無い。 「どちらにしろ、霧風三席には荷が重た過ぎる……」 「それを副たいちょーがカバーするんですよー当たり前じゃないですかー」 満面の笑みで応えた夜行に脱力した。
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