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夜行は現世から戻り、真っ直ぐ零番隊の隊首室へと向かった。
そこで怪我を押して調べ物をしている隊長が居るからだ。
「たいちょー。今戻りました」
「御苦労さま、夜行。火狐と夜孤がお腹すかせてるから、何か食べさせてあげて。生憎、料理なんて言う代物やったことが無いの」
「あははは。この前、日番谷隊長の私室半壊させそーに成ったんですよねー」
「そそ。だから、もう絶対にやらないことにしてるの」
笑ってはいるが、一度も手にした冊子から視線を向けない。
余程時間が無いのだろうと予想が付く。
ソファーで身体を寄せ合って眠っている双子を抱え、隊首室を後にした。
丁度自分もお腹が空いた頃だ。
何分そろそろ最後に食事をしてから丸一日が経ちそうな時間だった。
「駄目………どれを見て、それ以上の事は書いてないし、記憶にも無い。こんなけが、無かったら無理をしてでも現世に行って痕跡を調べれたのに」
『無理を成されないで下さい、かすが様』
「桜煉華……解って居るわ、それくらい。勿論貴方達にも感謝して居るのよ」
『ならば、もう少し身体をお休め下さい』
小さく溜息を吐きだした。
持っていた冊子を戻し、隣にあった冊子を手に取る。
ひらりと落ちた紙切れ。
拾ってそれを見た。
ニヤリと笑みを浮かべた。
「夜行ぉ~お仕事だよぉー」
語尾にハートが付きそうなかすがの大声に、隊舎を出ようとした夜行は青くなった。
勿論、問答無用で、もう一度現世行きと成ったのは言うまでもないが。
「たいちょーのばかぁー…丸一日食ってないんですけどぉー…」
『夜行の甘味袋』をひっくり返しても、補充して居ない袋の中身は入ってる訳はない訳で。
現世に居る同僚たちにまずは集ることにした。
静は茜雫と一緒に墓場に来ていた。
此処に自分の家のお墓があると言う。
流魂街出身の死神ならば、現世の記憶等持たない。
『やはり』と小さく息を吐きだす。
「此処に、あるの?」
「うん。ちゃんと覚えてる」
何も言わない。
静は確信を持てた。
だけど言わないでおこう。
風がざわめいた。
すぐに死神化し、斬魄刀を握った。
「風神の舞!」
喬美扇を広げ右から左へ振る。
竜巻を起こせば、茜雫も死神化する。
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