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武ちゃんが腕時計をチラっと確認し、
「そろそろ来る頃かな…」
と呟いた。
それを聞いて何だか少し緊張し、もう一度背筋をしゃんと伸ばす。
どんな人が来るんだろ…?
無理に連れて来られたとはいえ、どんな相手に対しても失礼のないように、きちんと愛想笑いくらいはするつもり。
まして相手が、武ちゃんの会社の取引先の方なら、受付嬢のあたしにとっても、大切なお客様にあたる。
ちなみに、いつでも誰にも満面の愛想笑いで対応できるあたしにとって、受付の仕事は天職だと思ってる。
「でも真面目な話、咲季も絶対に気に入ると思うぞ!斗真くんはさ、藤岡商事の中でも1番の若手営業マンで、最近までマレーシア支社に行ってたんだ。
まぁ、2年間の修行から帰ってきたってとこだな」
お相手の名前、斗真さんて言うんだ…
あたしったら、そんな初歩的な事も確認してなかったわ💧
と、かなり失礼な事をボンヤリと考えてると、
「いつかうちの会社に引き抜きたいと思ってたんだが、お前とくっついてくれたら、そういう話もしやすくなるし、俺としては万々歳だわ」
「ちょっと武ちゃん!もしかして、あたしを心配してなんて言っといて、1番の目的はそこ?!」
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