Act0 prologue 絶望と希望

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少年は少女になった。齢8の貴族の少年だった。 ある日見知らぬ人、いや人であるかは明確にはわからない者に呪いと言っても過言ではない魔法をかけられた。 その日から彼女<カレ>の進む道は荊の崖と化した。 後取りとして期待されてきたのだが、それは男として。女性となった時、目の前で見ていた両親は愕然とし、すぐさま本家に少女<カレ>を連れて帰った。 母親は初めは泣きはしたもの徐々に慣れていき、我が子が禁忌であっても態度を変えず今まで通りに接した。 然し、父親はそうではなかった。規則に厳格であったため妻の対応には呆れ果て、不快感を顕にしていた。 遂には少女<カレ>と話しているところの自らの妻を背中から斬り捨て、首を落とした。 そして母の死により全てを崩した我が子を地下室に幽閉し、最低限の食事しか与えなかった。 月日が過ぎ少女<カレ>の10回目の誕生月。衰弱し痩せ細った少女<カレ>を適当に作った転移用魔方陣に乗せて発動させた。 こうして少女になった少年――ユウリア・ヴィギア・アーファリアナは虚空の彼方へ消え去った。
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