★保科凌雅★

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―放課後― 「結局、凌雅はその後ずっと寝ていて教科書を開いたのはほんの30秒。」 「あっはは!保科先輩3年生なのにそれで大丈夫なの?」 俺の必死の授業態度をネタに馬鹿にする聖悟とそれを笑う柚太。けらけらと明るく笑う柚太は後輩としてかなり可愛いやつだ。 「全く、聖悟が同じクラスなんて悪夢だぜ」 俺としては頑張って受けた国語の授業を馬鹿にされた傷は大きく、凹む…。 「いーから早く練習しようぜ」 俺達はバスケ部に所属している。もちろん、恋人のあいつも、だ。 だがさっきから体育館を見渡してもあいつの姿は見当たらない。俺は体育館をランニングしながらさりげなく柚太に尋ねる。 「な、なぁ柚太、あの、あいつは、どうしたんだ?」 「ごめん!言うの忘れてたよ!保科先輩篤史がいないとだめだめだもんねー!」 ニコニコと俺の本心を言い当てやがるから柚太は油断ならない。 「篤史はクラス委員だから、委員の仕事終わってから来るって」 「そ、そっか…」 少ししゅんとした俺の顔を見た聖悟はここぞとばかりに毒を吐く。 「おい、アホ面。柚太の隣でそんな顔をするな。まるで柚太が悪いように映るじゃないか。」 「アホ面アホ面うるせーよ!毒吐き魔!」 ぎゃーぎゃーとランニングしながら聖悟と言い合いをしていると、いつの間にか俺の隣に一緒に走るやつがいた。 ・
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