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「お邪魔しまーす!」
結局ワイシャツの下は素肌だ。
ワイシャツの下に赤いTシャツが保科凌雅のシンボルなのに。とぶつぶつ言っていると、篤史が俺に話しかける。
「今日は小春ちゃんいるんですね」
小春というのは俺の唯一の兄妹だ。中学3年だから、あいつも今は受験勉強に勤しんでいるらしい。
「ああ、最近は学校終わったら家に直行して部屋にこもってんな。勉強してんだろ。」
「偉いですねぇ、小春ちゃんも」
篤史は凄く常識のある大人なやつだ。恋人である俺の家族も、自分の家族のように思ってくれているし、挨拶や礼儀も俺以上に出来ている。俺的には料理も上手い家庭的なとこも好きだけど…。
「篤史、部屋に行っててくれ。なんか食い物とジュース持ってくっから」
「えぇ~嫌ですよ!俺も着いていきます!」
「いやいや客は黙って座って待ってりゃ良いんだよ!」
「嫌ですってば!学校であんまり会えないんだから、こうやってたまに二人きりになれた時くらいずっと隣にいさせて下さい」
親から離れるのを嫌がる子供のように駄々をこねる篤史を放っておけない俺は、しょうがねーな、と言って台所に向かった。
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