手紙

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手紙

その時、いきなり目の前に光がさしかかった。すると、その光の中から、何かがひらひらと降ってきた。手にとって良く見てみると、手紙だった。宛名には私の名前が書いてある。どうやら私宛てのようだ。私は、光の中から降ってきたことが不思議でたまらなかったが、中が気になったのでとりあえず封を開けてみることにした。軽くのりづけされている封を、ゆっくりていねいに開けた。 “そらへ おげんきですか?あれからはじめてかくおてがみですね。かきたいことがたくさんありすぎて、なにからかけばいいのかわかりません。なので、こんかいはこれだけにします。あのときはごめんなさい。じぶんたちのつごうにばかりあわせてはいけないんですね。あれは、かみさまからのばつだったんだとおもいます。いまごろになってようやくきづきました。ほんと、いまごろきづいてももうおそいんですけどね。でも、すごくすごくはんせいしているので、どうかおゆるしください。このおてがみがさいしょでさいごにならないことをねがっています。またこんどおくります。” 私は、あの時とかあれとか何だろうと思いながらも、ひらがなだけで、いかにも私宛てだと分かるの手紙の…封筒の差出人を見た。 “おとうさん、おかあさんより”私はその字を見た途端涙が溢れた。あの日…あの事故が起きた日のことは忘れようとしていた。その今まで我慢してきた悲しみやつらさが一気にこみ上げてきた。私は泣きながら、手紙を封筒に戻そうとした…すると、中に何かが入っていた。私は涙を手で拭い、その何かを取り出した。それは…家族全員が写っている写真だった。その写真は、引っ越す前の家で、記念に撮った写真だ。私たちにとって、最後の家族写真でもある。私は手紙と写真を握りしめて、手紙が降ってきた光の方を見つめ、呟いた。 「ありがとう…お父さん、お母さん、大好きだよ。…ねえ、お母さん?なんだか眠くなってきちゃった。いつもみたいに、絵本読んでよ…ねえ、お父さん?せっかくお手紙くれたけど、もうすぐ会える気がする。最初で最後のお手紙になっちゃうね。ごめんなさい。でも、お手紙も写真も、すごく嬉しかった。ほんとに…ほんとに…ありが…と…」 そして、私は一粒の涙を流し、永遠の眠りに落ちていった…
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