最期

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今日は雨だった。しかもやむ気配のない、どしゃ降り。昨日作ったてるてるぼうずが、濡れて逆さまになっていた。私は変わり果てたてるてるぼうずを見て、空気と同じぐらい冷たい目をして呟いた。 「てるてるぼうずさんの裏切り者…きらい、大っ嫌い!」 私は布団の中にもぐり、うずくまっていた。そこへ看護士さんが来て 「今日、雨になっちゃったね…でも、私それでもやっぱり空ちゃんと遊びたくてさ。外遊びの代わりにはならないかもしれないけど、ここでトランプでもしない?…トランプじゃ、つまらないかな…」 と言ってくれた。私は 「トランプ…いいですね♪やりたいです!」 と、もちろんトランプに賛成。外遊びが一番好きだけど、トランプだって楽しい。今日はもう、外遊びじゃなくても楽しめればいいやと思った。そして、私と看護士さんのばばぬき対決が始まった。シャッフルをしてカードを配り終わり、一斉にカードを見た。ばばを持っているのは…私。今日は何かとついてない日だ。一対一だから、看護士さんは私がばばを持っているのは分かっている。だから緊張しているのだろう。空気や表情で伝わってくる。そして、ふと私は窓に目をやった。窓の外を見ると…さっきまでの天気が嘘だったかのようにきれいな青空が広がっていた。しかも、遠くに虹がかかっている。その虹は、途切れてもなく、ぼやけてもなく…はっきりと七色に光り輝いていた。私がその美しさに見とれていると 「あ~!やっちゃった~!」と看護士さんが悲鳴をあげた。私はどうしたのかと振り返ると 「はは…ばばひいちゃったよ。」 と言って落ち込んでいた。私は真剣に、看護士の持っているカードを選んだ。二分の一の確率。私は直感を信じてカードをひいた。心臓が高鳴る中、カードを表にした。 「やったあ!あがり!」 そう、私のひいたカードはばばではなかったのだ。私は、やっぱり今日はついている日だ…と、さっきまでの考えを訂正した。それから、ふとあることを思い出して窓を開けた。 「てるてるぼうずさん。さっきはひどいことを言ってごめんなさい…やっぱり、大好き!だって、こんなにいい天気になったのも、ばばぬきで私が勝てたのも、あなたのおかげだもの。ほんとにありがとう!」 私はお礼を言って、役目を果たしたてるてるぼうずを、元の布一枚に戻した。
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