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葵の態度がおかしい。
話しかけても目を合わせようとしなかったり、よそよそしい態度をとったりするようになった。
肩に手を置いただけでも、近づき過ぎただけでも、葵は過敏に反応して、俺と距離をとろうとする。
思春期?
…んなばかな。
俺達は幼なじみだ。
ずっと一緒にいたのに、今更そんなこと。
じゃあ、好きなヤツができた?
…いやいやいや。
葵には、そんな隙を与えなかった。…というより、与えさせなかった。
他の男を、近づかせたりするわけないだろ。
だって、俺だけだし。
順にも、…冬也にも、葵はいつも通りだったから。
暫くすると葵のよそよそしさは落ち着いて、これまでみたいにじゃれあうようになり、まぁいっかと、深く追求することを諦めた。
それでもふいに、なんとなく疎外感を感じながら、俺の高校生活は始まっていったんだ。
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