111人が本棚に入れています
本棚に追加
/493ページ
苦手な制服のネクタイをどうにか仕上げて、カバンの中身を最終チェックする。
よしっ、大丈夫!
部屋から玄関まで一直線の廊下をドタドタと走ってローファーを履き、
「行ってきまーす!」
と玄関を飛び出していく。
後ろからママの小言が聞こえたけど、もちろん聞こえないふり。
それにしても、先に行くなんてひどい!
寝坊した自分は無視して、置いていかれたことに腹を立てながら、家を出た瞬間。
「8分だな」
思いがけず声がして、慌てて足を止める。
でも、すでに走り出していたあたしは止まりきれずに、その人の前を通りすぎてしまった。
「一真!?」
勢いよく振り返ったあたしは、思わず大きな声で名前を呼んでいたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!