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「ご、ごめん」
「別に、いいけど」
冬也君に言われて慌てて視線を前に戻す。
なんとなく気まずい雰囲気だと思っていたのはどうやらあたしだけで、冬也君はいつも通りだった。
それから他愛ない話をしながら、学校まで歩いた。
早めに出たせいか、教室に入ってもまだ人は少なくてやけに静かに感じる。
「目…あまり腫れなかったね」
「そ、そうかな。夜はあまり、泣かなかったから…」
「ふ~ん…。じゃあ」
冬也君は体を寄せ、あたしの目を見て優しく囁いた。
「俺のことも、考えてくれたんだ」
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