好きなひと

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  「いびきがうるさくて眠れないなんて、一緒に寝たみたいじゃん、俺たち」 「なっ!」 「葵のえっち」 固まっているあたしの耳元で、一真がそっと囁いた。 「か…かずま!」 あたしが叫んだ時には、一真はニヤニヤしながら走り出したあとだった。 ぽつんと、一人取り残されたあたし。 きっと、真っ赤な顔してるんだろうな…。 でも一真があたしをからかったのは、へこんでいるあたしを、元気づける為…だと思うから。 そんな一真を憎めるわけがない。 逆に、嬉しいとさえ思うんだ。 だってあたしのために、してくれた行動だって、わかるから。  
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