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長いキスの後、ようやく瀬川さんの唇が離れた。
呼吸を乱してぐったりしている私に反して、瀬川さんは余裕の表情。
「…夕子さんのグロス、付いちゃいましたね」
唇を押さえながらルームミラーを覗く瀬川さん。
その表情はとても満足気。
彼の形の良い唇には、私のグロスが付着して艶やかに輝いている。
「グロス…塗り直さなきゃ…」
むくれながらポツリと呟く。
後でトイレに直行しよう。
「塗り直さなくていいですよ」
「へっ?」
私はグロスの取れかかった口をポカンと開く。
何故に…?
「隙を見てまたしますから。その度に塗り直していたら大変でしょう?」
瀬川さんが恥ずかしげもなく、あまりにも爽やかに微笑んで言うものだから、私の方が赤面してしまった。
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