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「絶対にもう一回観るんだから。それまで犯人は教えないで下さいっ!」
大人気なく喚く私の横で、瀬川さんは嬉しそうに目を細める。
「そうですか…で、トリックは―――…」
「やめてやめて!トリックも言わないで下さいよ!!」
確実に遊ばれてる。
いい歳していつまでもギャーギャー言っていると、瀬川さんがクスクス笑いながら言った。
「かわいらしいですね。夕子さんて」
その一言で、完熟トマトの様に真っ赤になったのは言うまでもなく…
「さっ、食事に行きましょうか」
瀬川さんは、優しく微笑むと、私の手を取り歩き出した。
「…瀬川さんの手って大きいですね」
私は繋がれた大きな手を強く握る。
…なんだかくすぐったいな。
「夕子さんの手は柔らかいですね」
そう言って瀬川さんは、私の手をより強く握り返してくれた。
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