新しい恋

32/48
前へ
/1367ページ
次へ
「絶対にもう一回観るんだから。それまで犯人は教えないで下さいっ!」 大人気なく喚く私の横で、瀬川さんは嬉しそうに目を細める。 「そうですか…で、トリックは―――…」 「やめてやめて!トリックも言わないで下さいよ!!」 確実に遊ばれてる。 いい歳していつまでもギャーギャー言っていると、瀬川さんがクスクス笑いながら言った。 「かわいらしいですね。夕子さんて」 その一言で、完熟トマトの様に真っ赤になったのは言うまでもなく… 「さっ、食事に行きましょうか」 瀬川さんは、優しく微笑むと、私の手を取り歩き出した。 「…瀬川さんの手って大きいですね」 私は繋がれた大きな手を強く握る。 …なんだかくすぐったいな。 「夕子さんの手は柔らかいですね」 そう言って瀬川さんは、私の手をより強く握り返してくれた。
/1367ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25397人が本棚に入れています
本棚に追加