入籍と母の企み

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「さて、と…じゃあ、行こうか?」 双方の親を見送ると、圭吾がネクタイを緩めながら言ってきた。 「ん?行くってどこへ?」 この後、行く所なんてあったっけ? 不思議そうに彼を見上げると、圭吾はムッと口を尖らせた。 「…大事な所。忘れたの?」 そう言って私の手を取り歩き出した。 「え…ちょっと…?」 私の手を握る彼の手には、ギュッと強い力が入っている。 逃がさない、と言わんばかり。 「あ、そっか…でも、何も今日じゃなくても…」 行き先に気付いた私は、先を急ぐ彼に問い掛ける。 「朝も言ったじゃん。今日出したいって。それとも何?今更、結婚を取り止めるって言うつもり?」 そう言って、不機嫌そうに表情を歪める彼。
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