入籍と母の企み

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"青谷区役所" いよいよ、か… 眼前にそびえ立つ、鉄筋コンクリートの大きな建物を二人で見上げる。 「やっと…」 微かに発せられた圭吾の声と同時に、繋がれた手が離れた。 「…圭吾?」 不思議に思い、彼の顔を覗き込む。 「やっと…この日を迎えられた」 感無量、といった表情で呟く彼。 「…嬉しい?」 私の問い掛けに、圭吾は満面の笑みで 「当たり前じゃん!」 即座にそう答えてくれた。 圭吾はスーツの内ポケットから婚姻届を取り出す。 そして、一つ深呼吸をすると、私の手を取り、指と指を絡めて強く握ってきた。 「行こっか」 「うん…」
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