入籍と母の企み

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「えぇ、指が細く長く見える効果があるので、男女共に支持されております」 「へぇー…指が細く長く…」 「素材的に少々お値段が張りますが、その分強度があり、傷が付きにくいんですよ」 店員の説明を聞いた私は、つい自分のゴツい手に視線を落とす。 そんな私を見て、圭吾が嬉しそうに一言。 「夕子サンにピッタリだね。それに決めよっか?」 「むっ…酷い。気にしてるのに…バカ圭吾」 そう言って口を尖らせる私。 「怒った顔もかーわいー」 圭吾がクスクス笑うと 「ふふっ…」 小さな笑い声が聞こえた。 私と圭吾は、一旦お互いの顔を見合わせてから、笑い声のした方へと視線を注ぐ。 その発生源は、カウンターを挟んで向い側にいる店員。
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