入籍と母の企み

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そんな彼を慌てて制して 「何でもないよ。さ、行こう?」 努めて明るく言った。 だって、値段を見たら目玉が飛び出しそうだったから。 高くてとてもじゃないけど買えない。 「…ん…そだね。行こっか」 圭吾はショーケースの中をざっと一瞥したけれど、それ以上は特に触れてこなかった。 「疲れちゃったね」 笑顔でそう言うと、彼は私の手を強く握る。 「うん、早く帰ろ」 私も笑顔を作って頷き、彼の手をギュッと握り返した。
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