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レポートに行き詰まると、図書館の中でもある場所に行くのが私の癖になり始めていた。
そこは、図書館のT字路のさらに右奥で、ちょっとマニアックな文献がおいてあり、赤茶色の立派な皮の背表紙だらけで、ほとんど誰もこず閑散としている。
古い本の埃っぽい臭いと、そこだけ時間が止まったようなシーンとした空間は、疲れた目や体だけでなく、心もやすまって、なんとなくほっとする。
「あれ?サクラ?」
「えっ?慎先輩…?」
「なにやってんのこんなところで?」
何をするわけでなく、壁に寄りかかり皮の背表紙を見つめていた私は動揺してしまう。
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