潜入捜査

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屯所を出て 漁港まで足早に歩いた 怖かった。 戻ってしまいそうだったから。 高杉の船――… 覚悟を決めろ――… 謝るんだ―― 船にあがると ガチャッ 銃の引きがねを引く鈍い音とともに女の声 「誰っスかお前――ここが何処かわかってるっスか」 「今日から入る冬月雨音だ高杉に会に来た」 「わかったっス 晋助様はあっちに居るっス よろしくな雨音。私はまた子だ」 「よろしく。また子」 薄く笑って足を早めた いよいよだ 死ぬか―――… 生きるか―――… 全ては高杉次第 船の先端に立ち 煙管を吹かす 高杉の姿があった 「たッ…高杉」 「!!??その声はァ」 ジャキィィィィン―― 刃が飛んで来た 私は間一髪で避けた 「ククク……またお前かァ……またまた死に来たのかァ?」 「違うんだ高杉――私は 謝りたいんだ………」 「ほォ……誰にだァ」 「アンタと……殺してしまった人達にだ」 「どのくらいの覚悟だ」 刀を私の首に当てる 「償えるなら……こんな命くれてやる覚悟だッ」 高杉の目を真っ直ぐに見つめた。 「フッそォーかョ……」 刀を下げる高杉― 「俺ァ別に怒ってねぇし アイツらだって何も思っちゃいねぇだろうよ」 「高杉――」 「悪かったな…… お前の部屋に案内する……来い」 「ぁ、ありがとう。高杉」 「あァ」
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