僕等が産み出せるものは、きっと何よりも尊い

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なんてことを2人でいるのに考え込んでいたら、隣で雑誌を読んでいたはずの佐々木の手がそっと頬に触れた。 驚いてばっと顔を上げたら、佐々木が心配そうに俺の顔を窺っていた。 「どうしたんだよ。 そんな哀しそうな顔して。」 そう言って、頬に触れていた手で優しく髪を撫でる。 「佐々木はさ、」 その手が凄く心地好くて、凄く安心して、思わず聞いてしまいそうになった。 非生産的だと否定されるこの関係を。 結婚することも、子供を授かることもない関係を。 どう思ってるの? そう聞きたくなったけど、一瞬躊躇われて変に言葉が途切れてしまった。 でも、ここでなんでもないなんて言ったって佐々木はきっとしつこいくらいに問いただすんだろうな、なんて思って。 悩んでるくらいなら言ってしまえ、と少し投げやりになってみた。 .
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