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「お前は、さ。
俺と一緒にいて結婚出来なくて、子供も出来なくて、それで良いのかなって。
非生産的、なんて人から否定されること、どう思ってんのかなって思って、さ。」
俯いて発した言葉は次第にか細くなって、すごく弱々しかった。
目線を上げて佐々木の顔を見たら少しの間、驚いたように目をぱちくりさせてから、優しく微笑んだ。
「そんなこと気にしてたのかよ。
どうだっていいだろ、そんなこと。
確かにさ、お前と結婚出来なくても、子供が作れなくても良いって言ったらそれは嘘になるぜ?
でも結婚したいとか子供がほしいなんて理由でお前と一緒にいるわけじゃない。
お前が好き、ただそれだけ。
お前が俺のこと好きで、傍にいてくれりゃあ、他人がどう思おうが関係ねぇよ。」
言い終えると佐々木は飛びっきりの笑顔を浮かべた。
胸に居座っていた重たい何かがすうっと簡単に消えいくような、そんな気がした。
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