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自分が悩んでいたことが佐々木の言葉で、笑顔でちっぽけに思えた。
そして、それだけでどうでも良くなってしまった自分と、今まで悩んでいた自分が阿呆らしくて佐々木につられて自然と笑っていた。
胸がじんわりと熱くなって、幸せな苦しさに襲われて。
好きだなあ、なんてしみじみと思った。
「それにさ、俺達は非生産的なんかじゃないだろ?」
そう言葉を続けた佐々木は楽しそうに、嬉しそうに笑っている。
俺は意味も分からず目を丸くして、先を促すように首を傾げた。
「だって俺達は互いに愛を産み出してる。」
なんて格好付けて言うから、可笑しくて嬉しくて溜まらなくなって佐々木の胸に飛び込んで首に腕を回した。
「はぁ、もう、納得せざるを得ないね。
だって現在進行形で愛、生まれちゃってるもん。」
佐々木はくすっと笑うと、驚いて宙に浮いたままだった腕を俺の身体に回した。
「結婚して子供授かって幸せな家庭築いる人達に負けないくらい、俺達だって幸せだよ。」
俺は更に強く、ただただぎゅうっと佐々木に抱きつくだけだった。
こいつには適わない、そう改めて思った。
fin.
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