匂香

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「んー、眠いなあ。」 俺がテレビにかじりつくように見入っていると、ソファーに座っていた好井が独り言のように呟いた。 「なあ、井下、眠い。」 何も返さずにいたら次は俺に向けて言うてきた。 眠いなら寝れば良いだけの話やないか。 別に起きてなあかん理由なんてあらへんのに。 「ならもう風呂入って寝たらー?」 取り敢えず面倒臭いのでこう返した。 眠いなら寝れば良い、それだけのことや。 「うんー、でもなあ。 ああ、どないしよかなー。」 それなのに好井は曖昧な返事を返して動かないまま。 それどころか、んーとかあーとか言って考え続けてる様子。 え、今日の好井なんか面倒臭いかも。 何度も言うけど眠いなら寝ればええのに。 とは思うけど口に出すことはなく、面倒臭いのでテレビに意識を戻した。 しばらくすると好井は、未だにんーとかあーとか言いながらもソファーから腰を上げたようだ。 なんや風呂入る気なったんやろか。 とぼーっと頭の隅で考えながらテレビに夢中になっていると、後ろからふわりと好井に包まれた。 .
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