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「おっ、ちょと、なんやの。」
てっきり風呂入ったんかと思うてたから不意打ちというか、純粋に驚いた。
「うんー、なんとなく。」
好井はまた曖昧に返すと首に緩く回されていた腕に少し力を込めた。
「いや、なんとなくてなあ。」
きゅ、と寄せられた身体にどきっとしてしまい、なんやねんともつっこめずに俺の言葉も曖昧になって、なんや更に恥ずかしくなって心なしか頬が熱い。
「あ、お前ええ匂いすんなあ。」
好井は俺に構うことなく、突然そう言うと首筋に顔埋めてくんくんと匂いはじめた。
「ん、ちょ、何してんの!
も、くすぐったいてー。」
くすぐったさと、恥ずかしさから身を捩ってはみるけれどやっぱどこか心地好くてなんだか離れがたい。
なんて考えてると、思いっきりぎゅうっと抱きしめられて胸いっぱいにすうっと息を吸い込んだ好井がぽつりと呟いた。
「俺、お前の匂い好きやねん。」
かあっと頬が熱くなるのが分かって、それさえも恥ずかしくなって頭がぼーっとする。
そんなん言われたらなんて返したらええか分からへんやん。
ありがとう、とか俺も、なんて言える訳もないから、代わりに好井の身体に少し体重を預けてやった。
第1位 後ろからぎゅっとされる
fin.
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