いつだって君が救世主

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何もする気が起きないまま、ただぼんやりと時折大きくなる雨音に耳を傾けはていた。 どんよりとした雨の日の空気が、いつもは心地好かったのに今日に限って俺に重くのし掛かってくるようで少し煩わしい。 雨の匂いだ、なんて今更思ってみたりして。 すうっと息を吸えば胸が雨の匂いでいっぱいになって、苦しくなったから大きな溜め息と一緒に吐き出した。 匂いも音も、俺を憂鬱にするだけで。 ネガティブな思考がぐるぐると頭を巡る。 雨音が俺の思考を囃し立てているようで 思わず耳を塞ぎたくなった。 煩わしい雨の所為で憂鬱なのか。 憂鬱な気分の所為で雨を煩わしく感じるのか。 そんなことは分からないけど、ただ胸が苦しくてどうにかなりそうだった。 ぴーんぽーん。 そんなときに鳴り響いた間抜けな音にわけもなくむっとした。 マンションかなんかの勧誘だろうが、なんだろうが今は出たくない。 立ち上がりたくもない。 そう思っていると携帯にメールが届いた。 ・
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