ありふれた、その

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「自分から呼んどいて、ほったらかしで寝る気なんか、お前は。」 ベッドに俯せに倒れ込む俺に、呆れたように藤原が声を掛ける。 その声はふわふわした脳にぼんやりと響いた。 だって仕方ないやん。 急にどうしても会いたなってむちゃくちゃなこと言って来て貰ったはええけど、会ったらなんや安心してむっちゃ眠なってんもん。 とは思うものの、言葉にするのが面倒で。 「うんん、うぅーん。」 せやけど藤原との会話が途切れるんがなんとなく嫌やから、唸り声で返事をした。 「うぅーん、言われても分からんわっ。 もー、眠いんやったらなんで呼んでん。」 「んんーっ、うーん?」 意味のない唸りを上げる。 伝えたいことがない訳やない。 ただそれを口にするのが面倒。 伝えたいことを頭で纏めて言葉に変換するまでが面倒なだけ。 ベッドに沈めた体から疲れとか今まで張り詰めてた何かとか気力とかがじわじわと抜け落ちてく感じ。 一気に睡魔が襲ってきて、体とか瞼とか口とか、もう全てが重い。 指先を動かすことも瞼を持ち上げることも口を開くことも何もかもが億劫。 ただ、それほどまでに眠いのに眠りに落ちていく気配はなくて。 意識だけははっきりしてて不思議な感覚。 .
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