願い

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曇り空一つなく光り輝く夜の星空。 少女は淡い期待を抱き、見えもしない流れ星を見たフリをし、とある願いを祈りに込める。 それは二人の運命を大きく大きく左右させるだろう、少女の嫉妬から生まれた醜くも儚い小さな小さな願望。 曇り空が星空を遮り、雨さえ予感させる冴えない夜空。 少年は特に興味もない明日の天気予報に気を配りつつ、あるメールの返信に淡い希望を抱いていた。 それはとある女の子への告白のメール。 自信はあった。と同時に成功した後のフローチャートを何回も何回も頭の中で反芻していた。 しかし淡い希望しか抱けないのには訳があった。 「!?」 メールの返信を知らせる携帯のバイブレーションが鳴る。瞬間それを握る手からの汗が滝のように噴き出す。まるで心臓とバイブレーションが連動しているかのような震えが感覚が彼を襲う。 息を呑み、少しでも震えを沈め、意を決して携帯を開き、メールを確認する。 『私は友達のままでよかったのに……』 瞬間、悟った。平安、鎌倉時代なら新たな宗派を開くレベルの悟りに辿り着いた。最澄や空海では比にならない。キリストもその悟り力に十字架を背負って逃げ出すだろう。 悟りで人を殺せる。空も飛べる、父の薄毛も治せるし、母のアルコール好きも治せるだろう。 そう、俺は悟りスト。 経済悟りスト。政治悟りスト。戦場ジャーナ悟りスト……。 今なら悟りストライキを起こせそうな気さえした。 略して悟りスト。 くだらない。彼は涙を堪え、テレビを消した。明日は晴天だった。 ……そう、彼は幾度となく告白を試みるも、生まれてこのかた、まだ一度も成功したことがないのだ。  
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