†隣人†

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  はじめまして。 佐和信智と申します。 俺はばぁちゃんが大家をやってるアパート『佐和荘』に住んでいます。 職業は喫茶店経営。佐和荘の左3つ隣の建物で『SAWA』って喫茶店をやってて、ここらじゃけっこう有名……ってそんなことはどうでも良いんだ。今はそれどころじゃない。 さっきまで俺は床に入って愛猫を抱っこしながら1日の疲れを癒そうと思っていた。 18歳のばぁちゃん猫だが暖かくて良い湯たんぽになるんだわこれが。 ぬくぬくした猫を抱いてうつらうつらしてると、微かに物音が聞こえた。 風でも吹いてんのかなぁ…と鈍った頭で考えてると、ガタッ、って音がした。タンスに何かぶつかったような音。 変だなぁと思いつつ眠気に負けてうつらうつら続行。 そしたら…… 「おいジェルメ、大丈夫かよ?」 「あたたっ…鼻ぶつけたっ…」 ……? ぇ、話し声聞こえるし…… びっくりして意識覚醒したじゃないか。 「信智さん起きてない?」 「全然、ぐっすり寝てるっぽいぜ。」 「今日も忙しかったみたいだね。」 え、俺呼ばれた。てかなんで俺の名前知ってんだろ…つか今後ろに居るこいつらは誰? 軽いコンフュ状態の俺を余所に後ろに居るお客様方(?)は会話を続ける。 「じゃあ、サフは台所の角砂糖とお塩、僕はティッシュ担当ね。」 「クリップどおすんの?この前来たときはきらしてたけど。」 「信智さん新しいの買ってたから、何処かにあるはずなんだけど…」 クリップならそこの引き出しに入ってます。…じゃなくて、ぇ、何?今の会話の感じからすると彼ら俺の部屋に来るの初めてじゃないの?え?角砂糖と塩どおすんの?え?ティッシュ?え?担当?え?ヤバいコンフュヤバい誰か白魔導師の方はいらっしゃいませんか? そうは言ってもこんな都会のど真ん中に白魔導師なんているはずもなく、俺にかかったコンフュが解ける頃には話し声は消えていて… 寝惚けてたのか…? 恐る恐る薄目を開けてベッドサイドのテーブルにのっかってるティッシュ箱を見ると…    
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